鍵が閉まったままドアノブごと取れた。

 人はパニックに陥ると、冷静になって対処するか、パニックになって反応するかのどちらかだと思う。いい歳をして、と思われるかもしれないけれど、私は後者だ。とりあえず困ったことになったら、猪のように突進しまくって物事を解決しようとするきらいがある。だから力ずくで物事を解決できるときもあれば、さらに事態が悪化することもある。まあ、大概の場合は、悪化する。

 先日パートに出かけようとしたら、うっかり開いていたカギを閉めてドアノブを回してしまった。当然ドアは開かないわけだが、急いでいたこともあり、パニックに陥った私は力ずくでドアを開けようとしてしまった。するとあろうことか、ドアノブがひょこっと取れてしまったではないか。えぇぇぇ!?さらにパニックに陥った私はドアノブを再びはめ込もうとするものの、何度やってもハマらないし、ハマったと思ったらすぐに取れてしまう。何やってんだ、私。これじゃあセルフ監禁じゃないか。そこで深呼吸をして一息ついて冷静になるべきだった。パート先に電話で連絡をして、遅れるという旨を伝える。

アパートの管理会社に連絡をする。必要ならカギ屋にカギを治してもらう。どうしても外に出なくてはならないのであれば、窓から出る。今になって冷静に考えれば出てくる答えも、パニック状態の猪にその答えが導き出せるわけもなく、私はただただ本当の猪のようにドアに向かって体当たりをしばらく繰り返し、ただ事でないと察知してくれたアパートの住人が不動産屋に連絡をしてくれて、外からカギを開けてもらったのだった。汗だくで顔をひきつらせながら玄関から出てきた猪のような女、不動産屋と近所の人から見たらどんな風に映っただろう。見てはいけないものを見てしまったと思われたのか、それ以来近所の人と会うと気まずい空気が流れるようになった。

 夫には怒られるし、パート先には迷惑をかけるし、散々な一日となったのである。